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黒いエレガンス les sapeurs de kinshasa

 アフリカ大陸のど真ん中に西ヨーロッパがすっぽ入るくらいの広大で濃厚な密林が広がる。その中を、巨大な蛇がうねるように幅10キロメートルに及ぶコンゴ河が流れる。 その下流に忽然と浮かび上がる熱気と混沌の街。それが人口約1000万人の大都会、大密林王国?の都、キンシャサだ。この河を境に北がコンゴ共和国、首都ブラザビル。南がコンゴ民主共和国、首都、キンシャサと二つの国に分けられる。この両都市で”SAPE”という一大ファッションムーメンが誕生した。

天性の自由なインスピレーションや色彩感覚で、ヨーロッパの洗練されたエレガンスを、アフリカの野性美と人生を大胆に生きる心意気で着こなすファッショニスタ=サップールは近年、大きな話題を呼び、数多く取り上げられたのは、コンゴ共和国の首都・ブラザヴィルの住人たちだったが、キンシャサにも反骨の鎧をまとい、ファッションにすべてをかける男たちがいる。 色彩鮮やかなスーツを着こなすブラザヴィルのサップとは異なり、キンシャサの彼らは、より自由で個性を光らせ、ちょっと反骨精神でパンクっぽい。白と黒のような両極を、お洒落にミックスチャーする。サップールたる者は、高級ブランドを身にまとい、ヘアースタイルから靴、時計、アクセサリー、小物に至るまで細かく心を配り、シックにお洒落をきめるのだ。

サップに大切なのは、外側だけのファッション性だけでなく、そういった心意気、生きる姿勢なのだ。

そして、また "黒いエレガンス" とは、ただ単に肌の黒い人がエレガンスに身をまとうというだけの意味ではない。この歪んだ現代世界の闇の中から、自分を今に輝かせる。これこそが"黒いエレガンス”なのだ。 闇の中から生きる活力を見いだすダイナミズムがファッションに反映される。

 地下資源が豊富なコンゴは、その奪い合いなどで戦争が絶えない。’96年から続く争いでは600万人以上が虐殺されている。その上、自分たちの地下資源はみんな先進国に吸い取られ、この国はいつまでたっても、世界最貧国のレッテルを貼られている。首都、キンシャサでも内戦、貧困や治安の悪さ、政治の腐敗など、最悪な状況が長く続き、国民は困難な状況に置かれている。しかし、これこそがコンゴ魂!?どんな苦境に陥っても、希望を捨てず、その中から何かを生み出そうとする情熱、すべてを生きる原動力として人々は強く明るくこの世界を謳歌して生き抜こうとしている。それが音楽にアートにファッションに華開くのだ。これこそが脈々と躍動するキンシャサの魅力だ。そして、状況を悲しみ、過去を嘆き、未来に怯えて生きるより、限りある人生という時の中で、大切なのは目の前にあるこの瞬間を最高に生きることだ。サップのスピリット!!!

 現代の世の中で最も苦しんでいる彼ら、その苦悩の深さゆえに現代で最も美しく驚くべきパワーで作り出していく。

★闇が深いほど輝きは増す。

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